第一回 こむら返り
第一回 こむら返り
今回からこむら返りについて説明します。「こむら」は、ふくらはぎの筋肉の事で、一般的にふくらはぎの表面にある腓腹筋(ひふくきん)を指します。腓腹筋は膝関節から足関節(かかと側)の動きに関係するもので、ラテン語では胃袋のように膨らんだ筋肉、という意味があります。腓腹筋の奥にヒラメ筋があり、第二の心臓とも言われる筋肉です。このヒラメ筋はラテン語で草履の形の筋肉という名称でしたが、日本人には舌平目の形に似ているということで、ヒラメ筋と呼ばれます。
ヒラメ筋は身体の姿勢を保つインナーマッスルで、きわめて血流が豊富です。血流が豊富なために「こむら返り」を起こしにくいのが特徴といえます。持久力があり、こむら返りを起こしにくいですが、血流が多いので、運動不足で浮腫みを起こしやすいことや静脈血栓を作ること(いわゆるエコノミークラス症候群)がありますので、要注意です。
腓腹筋はとても瞬発力に富んでいますので、走るときやジャンプするときにパワーを発揮します。ただし、持久力は劣り、血流保持能力がヒラメ筋に比べて低く、脱水になるとこむら返りを起こしやすいという事になり、特に夏に就寝中の朝方に足がつって痛くて目が覚めることを経験された方が多いと思います。睡眠中は水分を摂取できませんし、排尿で目が覚めたときに意識して飲むしかないわけです。
若者は運動中に水分補給が必要なことは、甲子園大会やワールドカップサッカーでおなじみの光景です。つまりこむら返りが起こるのは睡眠中だけではありません。脱水気味になった時に起こるのは、アスリートも同じです。水泳中に起こり溺れそうになる、散歩中に起こる、車の運転中にもおこるなど、こむら返りはいつも突然にやってきます。
こむら返りは筋肉が縮んで戻りにくい状態になり痛みを伴います。筋肉に備わっている「腱紡錘(けんぼうすい)」というセンサーの誤作動です。脱水やミネラル不足などで筋肉が縮んできたときに、「腱紡錘」がその状態をキャッチできなくなってしまいます。そのために筋肉や腱が縮みすぎだから伸び伸びしましょうという信号を脊髄に送ることが「腱紡錘」の本来のお仕事なのですが、その報告を脊髄に送れなくなり、「筋肉がどこまでも縮もうとする」状態が起こってしまいます。その時にプロスタグランジンなどの「痛み誘発物質」が分泌され、縮みと痛みが同時に起こってしまいます。これがこむら返りの正体です。こむら返りの90%以上は下肢に起こり、ほとんどは、ふくらはぎにおこり、少ないですが、すね、足の裏、太ももにもおこります。まれに手の指、腹筋にも起こります。対応は水分を摂る、運動をする、アルコール・カフェインを減らす、ミネラルを補充する、運動を欠かさないことです。治療は一般的に漢方薬です。主に芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が使われます。次回から予防について説明します。

