片頭痛編(第一回) Dr.藤田の健康コラム

 現在高校受験の時期にコラムを書いております。そこで、一時認知症の話題を離れて、頭痛とくに若い方に多い片頭痛について健康コラムを記載します。

 頭痛はとても多い症状です。肩こりなどの緊張型頭痛は国民の四人に一人といわれます。日本で3000万人いるそうです。次いで多いのが片頭痛です。片頭痛には多くのバリエーションがあり、800万人の方が悩んでいます。似たような頭痛で群発頭痛という激烈な頭痛もあります。これらは激しく痛むけれども命にはかかわらないこととCTやMRIを撮影しても異常がない頭痛で、一次性頭痛といいます。

その他の頭痛はぐっと患者さんの数は少なくなりますが、命にかかわりうるクモ膜下出血や脳腫瘍・脳炎などの炎症、視力低下を起こす緑内障や、副鼻腔炎・顎関節症・歯科の病気など頭頚部の疾患が頭痛を起こします。命にかかわりうる可能性もあり画像診断の有益な疾患で、二次性頭痛といいます。

私の医師としての願いの一つは、受験シーズンや就職・結婚など人生の節目に何とか治療を間に合わせたい、片頭痛を何とかしたいという思いです。片頭痛というと片方が痛むもので前触れがあって視野に光るものが出て、ずきずきして嘔吐が多く寝込んでしまう頭痛でしょう?という一般常識で知られる片頭痛は精々2割程度だと思います。片頭痛はとてもバリエーションが多く、人によって相当な違いがあります。前触れがない人が多く、左右とも痛む、寝込むほどではないが長い時間痛む、月経のたびにズキズキする、光や音・匂いで誘発される、天気やストレスなどで誘発される、その起こり方がヒトによって少しずつ違います。血圧や血糖値のように数字で表せない、脳出血やくも膜下出血のように断層写真でわかる病気でもない。患者さんとのお話が全てです。私は問診票で起こり方を〇✖でつけてもらい、程度の問診、痛まないときの精神状態を記載してもらって診断します。日本頭痛学会のガイドラインと頭痛の国際分類で大体診断はつきます。

治療は痛みを鎮める急性期治療薬と、予防薬の二つがあります。現在の考え方は痛まないように予防することを第一にして、痛みそうになったり・痛んでから使う急性期鎮痛剤を第二にして考えます。まず予防薬です。たくさんの種類があります。予防を目的の際には副作用が少ないこと、特に女性の妊活や授乳に影響が少ないことが絶対条件になります。男性の場合は制約が少ないので投薬はしやすいです。予防薬でも週に一回程度大きな頭痛発作が起きる場合には、予防注射(抗CGRP関連薬)が選択肢となります。予防注射の欠点は3つ、注射なのですこし痛い、結構高価、効き目は高いが100%ではない、ことですが、目からうろこの効き目です。急性期鎮痛剤の効果も高いですが、予防薬を考慮して使うことが大事だと思います。薬の進歩は次回説明しますが、医療の進歩を実感しております。