睡眠編(第二回) Dr.藤田の健康コラム
睡眠時無呼吸症候群(SASと略)についてご説明します。夜中にどんなふうに寝ているのか、寝ている本人にはさっぱりわからず、頼りになるのは家族の存在です。この症候群は大多数が気道の狭まる閉塞性無呼吸症候群(OSASと略)で一般的にいびきをかいてそのあと気持ち悪いくらいに呼吸が停止します。1~2分近く呼吸が止まることが多いです。心不全などが原因となりやすい中枢性無呼吸症候群(CSASと略)は少ない病態ですが、いびきをかかないために見落とされる可能性があります。
一人暮らしの方や個室で寝ているのでわからない方は、以下のことを参考にしてください。夜中に何度も目が覚める、トイレの回数がとても増えた、朝起きたときに頭痛、朝方の血圧がとても高い、日中眠くなる、とても疲れやすい、などの症状が複数出てきます。2020年に筑波大学の報告では日本に睡眠時無呼吸症候群の患者さんは約2000万人、中等症以上の方は900万人と推察されています。軽症の方はあまり自覚症状がなくまた、欧米のように肥満体型だけではなく日本人は、通常体形のSASの方が多く、特に女性では肥満のない方のSASが還暦過ぎに増える傾向が明らかです。日本人は欧米人に比べると鼻が低く顎が小さく、空気の通り道が狭いことで「痩せていてもいびき、いびきの後に無呼吸、睡眠中低酸素状態になる、何度も目が覚める、日中辛い」そういう方が多い、それが日本人を含めた東アジアの特徴です。
日本で中等症以上の方が900万人もいて、実際に持続陽圧呼吸療法を受けている方は50万人程度です。それほどまでに病院を受診していないということになります。当院で行いましたとある協会の無呼吸検診で、約半数の方が軽症SAS以上の結果で、複数名が持続陽圧呼吸療法(CPAPと略)治療の対象になりました。保険治療の適応になる基準は結構厳しいです。検査は自宅でできる簡易型と、一泊入院が必要な精密型のやり方があります。簡易型は(指に装着する)酸素飽和度と呼吸モニターを付けるものが一般的です。精密型は簡易型の項目に加えて脳波を測定します。CPAPの治療の目安は簡易型で10秒以上の無呼吸回数が一時間に40回以上、精密型で20回以上となっています。現在はコンピューターが計算してくれますが、自分自身35年近く前に大学病院でこの検査を担当していた当時、徹夜検査をアナログ脳波計で行い呼吸や筋電図・酸素飽和度を記録、電極が外れたら困るし、トイレに行きたいと覚醒した時はジャックを脳波計からすべて外し、束ねて袋に入れて持たせて戻ってきたら、再接続を繰り返し行っておりました。

データはすべてアナログですので、解析は測定時間の数倍かかりました。現在はすべてPC解析の時代になりましたので大人数の検査も可能になりましたが、一機器に一人一晩ですので、健康診断のようにみんな集まれ!というわけにはいきません。国民の5~6人に一人がSASの現在、どのような原因があるのか次回記載します。
