脳の神経にまつわるお話(三叉神経痛など) Dr.藤田の健康コラム

三叉神経痛など頚から上の痛みについて解説します。神経痛は、ずっと痛いことを示す症状ではありません。痛くない時間のほうが長いことが多いのです。顔面で多いのは、歯を磨いたときや、冷たい水・風に誘発され、数秒から1~2分の激痛が起こることを三叉(さんさ)神経痛といいます。そしてこの痛み発作を繰り返すのが特徴です。

痛む場所は顔面の頬(第二枝)や下顎(第三枝)が多いです。額(第一枝)だけに限局することは稀です。従いまして、初めての激痛が額に起こったときには、帯状疱疹が原因かもしれない、明日には水泡が出るかもしれない、そういうことを念頭に置くことも大事です。

三叉神経痛のほとんどは三叉神経の根っこに動脈が圧迫を加えることで起こります。大多数が上小脳動脈の圧迫です。動脈瘤が圧迫することもありますし、脳腫瘍(三叉神経痛の場合ほとんど良性です)が三叉神経を圧迫することもあります。三叉神経痛は激痛です(すべての神経痛は激痛です)。

治療は通常内服薬治療から開始します。カルバマゼピン(テグレトール)が第一選択薬で、かなり効果があります。この薬だけでほとんどコントロールできる人も多いです。

薬の効果が少ない方で手術治療(微小血管減圧術)が選択されることがあります。そのほかに、定位的放射線治療(ガンマナイフ)、三叉神経ブロック治療が行われることがあります。微小血管減圧術の手術は500円玉程度の穴を頭蓋にあけ、顕微鏡下で神経に到達し、血管と神経の圧迫を解除し、再度の圧迫を予防するための素材(ゴアテックスなど)を入れます。腫瘍の場合には顔面神経の保護が大切で、そのために時間がかかります。

 稀な神経痛で舌咽神経痛があります。舌の奥から耳にかけて激痛が放散します。さらに稀なのは上喉頭神経痛で、のど仏付近から耳にかけての激痛です。この二つはわたくしは診療経験がありません。

最後に急に激しく頚部が痛いときの病気を2つ解説します。まず一つ目です、けっこうな発熱とともに頚部のちょっとした動きで激痛を感じる頚の上部にある環椎軸椎(第一第二頸椎)関節の偽痛風です。年配の方、特に女性に多く鎮痛剤で効果があります。CTで軸椎の軸突起周囲に典型的な石灰化(仏様の骨が王冠を被ったような所見)があります。鎮痛剤やステロイド剤が効きます。二つ目は椎骨動脈の解離です。動脈の壁が裂けてしまう病気です。俳優の石原裕次郎さんが大動脈の解離を起こしたことは有名です。大動脈に次いで解離しやすい動脈が椎骨動脈です。なぜ頚すじの動脈に傷が入るのか不明ですが、血圧が高い人に多い、高い枕をすることがよくないという説があります。50歳前後に多い病気です。急に頚が痛くなった時に、「寝違えだろう」と自己判断せずに病院を受診してください。椎骨動脈解離は命にかかわる病気です。診断技術の向上と思いますが、増えている実感があります。