脳の神経にまつわるお話(女性と自律神経) Dr.藤田の健康コラム
子宮の自律神経は交感副交感の二重支配を受けています。副交感神経(骨盤神経といいます)を刺激すると子宮の血管が広がって血流が増え、子宮につながっている交感神経(下腹神経といいます)が刺激されると子宮の血管が収縮して血流が減ります。つまり妊娠中に強いストレスが続くと交感神経が刺激されて、子宮の血流が減りかねません。とは言いましても過度に恐れる必要はありません。妊娠後期には子宮の交感神経支配はほとんどなくなり、赤ちゃんを守るように子宮に十分な血流を流す、そういう進化を遂げてきたようなのです。妊娠後半には母体内で女性ホルモンのエストロジェンが増えて、そのために交感神経による子宮の調節が失われてしまうのです。妊娠を維持する最後の切り札は、神経よりも女性ホルモンなのです。卵巣と自律神経のかかわりも似たようなところがありますが、これ以上につきましては門外漢ですので、詳細は割愛させていただきます。
ホルモンの分泌の代表といえば、脳の視床下部や下垂体のホルモンによる調節です。女性ホルモンのエストロジェンの場合、血液中の濃度によって、また月経の周期による変動を含めて精密にコントロールされており、脳のホルモンがエストロジェンを増やすように卵巣に働きかけています。ただし更年期になると卵巣の働きに変化が起こり、ホルモン量を保てなくなり、様々な更年期障害を引き起こすことになりますが、個人差が大きく、婦人科の先生の診察が必要です。

ここで皆様にお伝えしたい大事なことは、女性のほうが、平均寿命が男性よりも6歳長いということです。なぜでしょうか、一番有力な答えは女性ホルモンにあります。エストロジェンは悪玉コレステロールを下げ、血圧を下げ、動脈硬化の進行を防ぎます。そのため、更年期に至るまでの年代で心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化を基盤とする病気は明らかに女性で少なく、そのために働き盛りの年代で女性の死亡は明らかに男性よりも少ないのです。更年期年代から女性の死亡率はだんだん上昇していきます。それでも平均年齢で6歳の差がついてしまいます。それほどまでに女性ホルモンの力は偉大です。女性は子供を妊娠し出産する大きな仕事を背負っていますので、これくらいのアドバンテージはあってもよいと思います。なお、高血圧・糖尿病・高脂血症・アルコール・タバコなどの健康被害を起こしうる病気と健康習慣で、女性ホルモンの効力を一番下げてしまうのはどれか?お分かりの方も多いと思いますが、答えはタバコです。受動喫煙でも平均寿命は下がります。女性の方は女性ホルモンを無効にするタバコはぜひ避けましょう。男性は女性を守るために喫煙をやめましょう。あと女性の寿命を延ばすのはママ友などの共同体、早めの受診や健康診断受診率が女性で高い、内臓脂肪が男性よりも少ないなどです。喫煙をすると男女ともに「よせばいいのに」となり得ます。
