睡眠編(第五回) Dr.藤田の健康コラム

 人生の約1/3は睡眠です。この1/3が残りの2/3を支えています。睡眠時間よりも活動時間のほうが二倍長いということになります。二倍を支えるのですから、寝室や寝具などにもう少し気配りすべきと私自身反省しています。

 厚生労働省から「睡眠障害対処12の指針」が提示されています。睡眠衛生といいますが、誤った対処をして睡眠薬に頼るのはやめましょう。

 1、「睡眠時間は人それぞれ、日中眠気で困らなければ十分」です。一日何時間寝なければならぬということはありません。とりあえず日中に活動が十分できればそれでよいという割り切りが必要です。そして年齢とともに睡眠時間は短くなります。

 2、「刺激物を避け寝る前に自分なりのリラックス法」を持ちましょう。寝る前にカフェイン飲料や喫煙・ゲームやスマホはやめましょう。ストレッチやアロマ・お風呂はぬるめ、軽めの読書や音楽も有効です。入浴は睡眠直前は避けた方が良いです。

 3、「眠たくなってから布団に入りましょう、就寝時間にはこだわらない」のも大事です。

 4、「毎日同じ時刻に起床」することが大事です。早起きが早寝につながります。早起き早寝・朝ごはん朝うんちが大事です、早寝早起き朝ごはんといわれますが、早起き早寝が正解です。

 5、「光の利用でよい睡眠」とは、朝にお日様を浴びることで体内時計が動きます。夜の照明はなるべく暗くすることが大事ですが、夜尿の時に足元がわかる程度の照明は必要です。

 6、「規則正しい三度の食事と運動習慣」で、特に朝食が大事です。夕食は腹が減って眠れないのはまずいですが、なるべく軽くしてください。運動習慣は睡眠を特に熟睡を促進します。

 7、「昼寝をするなら15時までに30分以内」にしてください。長い昼寝は夜の睡眠を妨げます。

 8、「眠りが浅いときには積極的に遅寝・早起き」にしましょう。昼寝を我慢する必要はありますが、布団の中に長くいると熟眠感が激減します。

 9、「睡眠中の激しいいびきや呼吸停止・脚のむずむず感は要注意」です。これらは医療的対処が必要です。

 10、「十分に眠っても日中の眠気が強いときには専門医受診」をお願いします。ナルコレプシーなどの可能性があります。また車の運転にはとても注意が必要です。

 11、「睡眠薬代わりの寝酒は不眠の元」です。寝つきは良いのですが、中途覚醒してしまいます。アルコール性障害を起こしやすくなります。

 12、「睡眠薬は医師の指示で正しく使いましょう」決まった時間に服薬する、アルコールと併用しない、増量は自己判断でしないなど、注意が必要です。

 このように、寝酒(ナイト・キャップ)や睡眠薬に頼る前に行うべきことはたくさんあること、12か条にご留意ください。