脳の神経にまつわるお話(体内時計と自律神経) Dr.藤田の健康コラム
体内時計という時計があります。24時間よりも少しだけ長い一日を刻みます。この時計の刻むリズムは日中と夜間などの身体の一日のリズムを整えてくれます。例えば血圧や脈拍・体温は日中に高く、通常夜間は低くなります。ではこの体内時計はどこにあるのでしょうか、答えは脳の中です。脳の中の視床下部(ししょうかぶ)にあります。視床下部の真下で視神経が交差するところがあり、そのすぐそばの視交叉上核(しこうさじょうかく)にリズムを刻む時計があります。動物実験で視交叉上核を破壊すると夜行性動物が昼に眠られないようになり24時間動き回ります。人間でも真っ暗な環境に居続けたらどうなるかというかなり乱暴な実験が行われました。その結果、体内時計は24時間よりも長いということが明らかになりました。それなのに暦通りに生活できるのは「朝のお日さまの光」が時計をリセットしてくれるからです。睡眠学を研究されている先生方は「早起き早寝朝ごはん朝うんち」を提唱されています。朝にご飯を食べると腸の蠕動(ぜんどう)が活発になり排便が誘発されます。水分や食物繊維を十分にとることも大事です。アルコールは便を柔らかくする働きがありますが、脱水を誘発しますので薬代わりとしてはお勧めできません。

朝に目覚め、日中に活動する、夜間は身体を休めで明日に備える。これが生活の基本です。日中には交感神経が活発になって血圧や心拍・体温が上昇します。夜には副交感神経が活発になり血圧や心拍が下がり体温が低下して睡眠が誘発されます。体温が低下し睡眠誘発のメラトニンが分泌されることで寝付くことができます。逆に寝る直前に熱いシャワーを浴びて、強いお酒をストレートで飲むと身体が火照ってしまい、寝付くことができなくなります。
体内時計と自律神経は連動しています。一般的には朝起床すると交感神経が活発になり、血圧が上がり、心拍も増え、体温も上がって活動に備えます。夜寝る前には副交感神経が活発になってその逆の事が起こるのです。
朝から午前中は脳卒中や心筋梗塞が多い時間帯です。朝の血圧が高いないし活動中に高血圧になる方はかかりつけの先生にご相談ください。夜には、副交感神経が活発になるため、気管支筋は収縮してしまい、喘息が起きやすくなります。子供さんの喘息が夜から朝方に集中するのは、加えて副腎皮質ホルモンのコルチゾールが夜間に減るためです。寝ている間はストレスにさらされないので抗ストレスホルモンであるコルチゾールは最低値になりますが、このホルモンは抗アレルギー作用もあるのです。こういうわけで喘息は深夜から朝にかけて起こります。いびきの多い睡眠時無呼吸症候群や歯ぎしりのひどいブラキシズム・むずむず脚症候群・早朝こむら返り・悪夢を見るレム睡眠行動障害などの方も夜間によく眠れておらず健康が損なわれる可能性があります。かかりつけの先生ないし脳外科でご相談ください。
