脳の神経にまつわるお話(自律神経は全身の血流を調節する) Dr.藤田の健康コラム
前回前々回皮膚の血流は交感神経の働きによって調節され、ひいては脳の血流にも関係するというお話をかきました。多少の例外はありますが、交感神経が働くと動脈は収縮し血圧が上昇、副交感神経が働くと動脈は拡張気味になり血圧は低下します。交感神経にはアルファとベータ受容体があります。アルファ遮断薬は血圧を下げ、ベータ遮断薬は特に脈拍をさげます。現在では様々な理由でどちらの遮断薬も高血圧治療の第一選択にはなりません。特にベータ遮断薬は喘息を悪化させる、徐脈性の心不全を悪化させるためです。
心臓の血管は、副交感神経の活動が高まりますと心臓に供給される血流が増えます。この理由は、副交感神経が活発になりますとアセチルコリンが副交感神経末端から放出され、このアセチルコリンが血管の内側にある血管内皮細胞という細胞に働きかけて、NO(一酸化窒素)というガス状の物資が放出されて、心臓を栄養している冠状動脈が拡張して血流が増えます。一酸化窒素と同様の薬にニトログリセリンがあります。イタリアの科学者のソブレロさんが合成に成功して、ひとなめしたところ頭が割れるように痛くなり(片頭痛が起きた)、さらに一滴の過熱でビーカーが吹き飛びました。そののちノーベルさんが爆発力をコントロールできるようにしました。人間には狭心症の際にニトログリセリンの舌下で冠状動脈が拡張しますので、治療に用いられます。アセチルコリンは通常心臓の血管を拡張するのですが、真逆に収縮させてしまうことがあり、これを冠攣縮性狭心症といいます。喫煙や飲酒・ストレス・動脈硬化とも関係があるそうです。深夜から早朝の副交感神経が優位になる時間帯に狭心症を起こしてしまう病気です。冠状動脈を拡張させる亜硝酸剤やカルシウム拮抗薬で治療します。通常の狭心症・心筋梗塞は交感神経が優位になる活動している昼に起こる病気です。通常の狭心症も冠攣縮性狭心症も、いずれも喫煙・過度の飲酒が原因になりますので、禁煙節酒が自律神経を安定させることにつながります。ニコチンでリラックスすることはニコチン依存症そのものです。ニコチンは百害あって一利なしです。禁煙をしましょう。少量のアルコールでリラックスは生理的にも説明はつきますので、お酒は百薬の長という言い方はある面正しいのですが、アルコールの分解物のアセトアルデヒド(二日酔いの息の匂いの元)は強い発がん物質です。アルコールが嫌いな人飲めない人は、多少のワイン(抗酸化物質)が認知症予防になるとはいっても、無理して飲むことはありません。

脳のマイネルト基底核もニコチンや過剰なアルコールで神経の働きは落ちていきます。嗜好品の連用はよくありません。過ぎたるは及ばざるがごとしということわざがありますが、アルコールを飲む人よりも飲まない人のほうが健康だと思います。過ぎたるよりも及ばざるほうが良いということになります。
